ライクキッズ株式会社ありがとうの尊さが循環する「第二のわが家」をめざして。子どもたちのありのままに寄り添う、新卒1年目・学童指導員の挑戦。
東京都日野市にある日野市立一小学童クラブ。放課後のチャイムが鳴ると、子どもたちが「ただいま!」と元気に帰ってきます。ここで、新卒1年目の学童指導員として、子どもたちや保護者様と真っ正面から向き合っているのが梶聖梨花(かじ せりか)先生です。
4年制大学で小学校教諭一種免許を取得した梶先生が、なぜ学校の教員ではなく学童指導員の道を選んだのか。そして、ライクキッズが掲げる「第二のわが家」という理想を、日々の現場でどのように形にしているのか。そこには、一人の指導員としての強い信念と、子どもたちへの深い愛情がありました。
「あなたでよかった、ありがとう」と言われる場所にいたい
梶先生が学童指導員を志した原点は、大学3年生の時の教育実習にさかのぼります。「もともと子どもが好きで、小学校の先生を目指していました。でも、実習に行った際に、担任として一つのクラスだけをずっと見るという環境に違和感を覚えたんです。学年を問わず、もっといろいろな子を幅広く見たい。そう考えたとき、自分の理想に合致したのが学童保育という場所でした」と梶先生は振り返ります。
就職活動では、学童や児童館に絞って数社を検討しました。その中でライクキッズを選んだ決め手は、同社が大切にしている「ありがとう」の循環という理念でした。
「ライクグループの理念にある『あなたでよかった、ありがとう』という言葉に強く惹かれました。自分自身、誰かに『ありがとう』と言ってもらえることが一番嬉しい。そんな温かい言葉が飛び交う環境で、子どもたちと接したいと思ったんです」
ライクグループのミッションステートメントには、「『ありがとう』の尊さが循環する、美しい国を」という一節があります。梶先生は、まさにその「ありがとう」の起点になることを選び、2025年3月、期待と緊張を胸に日野市立一小学童クラブでの一歩を踏み出しました。
「第二のわが家」で交わされる、ありのままの「ただいま」と「おかえり」
梶先生が日々大切にしているのは、子どもたちにとって学童が「ありのままの自分でいられる場所」であることです。学校という「集団生活の場」を終えて帰ってくる子どもたちを、梶先生は「おかえりなさい」という言葉で包み込みます。
「子どもたちは学校で、授業や規則に縛られて頑張っています。学童に帰ってきたときは、その緊張を解いてあげたい。もちろん学習の時間もありますが、その後の自由時間こそが彼らの本当の個性が溢れる時間です。ありのままの姿で過ごす子どもたちを、私もまたありのままの自分として全力でサポートする。その関係性を何より大切にしています」と話します。
日々の何気ないやり取りの中にも、梶先生ならではのこだわりがあります。
「子どもたちが『ただいま!』と言わずに帰ってきたときは、あえて『おかえり!』と声をかけます。すると子どもたちは照れくさそうに『ただいま……』と言ってくれる。これもお互いのコミュニケーションを楽しんでいるんです。わざと言わないで、私の『おかえり』を待っている子もいるんですよ」と、梶先生は目を細めます。帰宅時の「さようなら」の場面でも、子どもたちの個性が光ります。
「『じゃあね!』と元気に飛び出していく子もいれば、最後までこちらを見て手を振ってくれる女の子もいます。一方で、男の子の中には、照れくさいのかこちらを一切振り向かずに、手だけを振って帰っていく子もいます。その背中を見送りながら、『ああ、これもこの子らしい個性だな』と愛おしく感じます」と話します。まさにライクキッズのステートメントにある「預けた子どもを迎えに行ったときの『おかえりなさい』の言葉でほっとする。まるで、実家に立ち寄るように」という風景が、梶先生の手によって毎日紡がれているのです。
子どもたちの主体性を育む、梶先生の「マント」エピソード
梶先生は、子どもたちの主体性や「こうしたい!」という気持ちを、指導員としてどのように引き出せるかを常に考えています。その象徴的なエピソードが、10月のハロウィンに向けた「マント作り」です。
「ポリ袋を使ってマントを作ったのですが、あらかじめ子どもたちに何色が欲しいかリサーチしました。黒、紫、オレンジ、黄色、ピンク、水色……。それぞれの希望が叶うように準備し、その上に白い画用紙を貼って、マジックで自由に絵を描けるように工夫しました。強制するのではなく、『自分たちの好きな色を選んで、自分だけのデザインを作る』というプロセスを大切にしたかったんです」
梶先生の想いは子どもたちに伝わりました。出来上がったマントは、一人として同じものがない、個性が爆発した作品ばかり。
子どもたちが自分で選び、自分で作り上げる。梶先生は、大人が先回りして決めてしまうのではなく、子どもたちが試行錯誤できる「余白」を意識的に作ることで、彼らの自信を育んでいるのです。
「叱る」のではなく「諭す」 一人ひとりの心に届く言葉を探して
子どもたちが集まれば、当然喧嘩やトラブルも起こります。そんな時、梶先生は決して頭ごなしに叱ることはしません。ここにも、梶先生の「一人ひとりを尊重する」という強い姿勢があります。
「喧嘩が起きた時は、まず両方の話をじっくり聞きます。何があったのか、どうしてそんなことをしちゃったのか。子どもが手を出すのには、必ず理由があると思うので、頭ごなしに『ダメでしょ!』と怒るのではなく、『あなたがやったことは、相手にとっては嫌なことだったんだよ』と、相手の気持ちを拾いながら諭すようにしています。子どもによって言葉の受け取り方は違うので、その子に一番響く伝え方をいつも模索しています」
この丁寧な向き合い方は、子どもたちとの間に深い信頼関係を築いています。
「宿題がなかなか進まない子に寄り添って教えてあげると、終わった時に『セリちゃん終わったよ!』と嬉しそうに報告してくれるんです。その後、こっそりお手紙をくれることもあります。ノートの間にシュッと挟んであったり、私がいない間に筆箱やポケットに忍ばせてくれたり……。『セリちゃんのおかげで宿題終わった。これからも教えてね。大好き』なんて書かれた手紙をもらうと、この仕事をやっていて本当に良かったと心から思います」
「セリちゃん」という愛称で呼ばれるその距離感こそが、子どもたちにとって梶先生が「先生」であると同時に、「兄弟姉妹」のような存在でもあるのです。
保護者様との信頼という循環。「あなたでよかった」と言われる喜び
「ありがとうの尊さが循環する」関係は、子どもたちだけではなく保護者様との間にも築かれています。梶先生は、保護者様がお迎えに来る夕方の時間を、信頼を深めるための大切なひとときと考えています。
「お迎えに来られた保護者の方には、まず『おかえりなさい!今日は寒いですね』といった一言から入るようにしています。そして、今日お子さんがどんなふうに過ごしたか、どんな様子だったかを細かくお伝えするように心がけています。特に喧嘩などのトラブルがあった際は、事実関係やこちらの対応を真っ直ぐに伝えます。そこでの擦れ違いやズレがないようにすることが、安心してお子さんを預けていただくための基本だと思っています」
こうした梶先生の誠実な姿勢は、保護者様からの温かい言葉となって返ってきます。
「『いつも細かく教えてくださってありがとうございます。これからも見守りをお願いします』と言っていただけると、自分の想いが伝わったんだなと実感します。保護者の方からの『ありがとう』は、私にとって大きな活力です。保護者の方にとって、困った時にいつでも何でも相談できる『第二のわが家』のような存在でありたい。そのために、これからも丁寧なコミュニケーションを続けていきたいです」
施設長は「ハルちゃん」 理想の職場が生む「ありがとう」の連鎖
梶先生が自分らしく、そして情熱を持って仕事に取り組める背景には、職場のチームワークがあります。日野市立一小学童クラブの職員たちは、役職や年齢の垣根を超えて非常に仲が良いのが特徴です。
梶先生が「ハルちゃん」と呼ぶ施設長(施設長は梶先生を「セリちゃん」と呼びます)は、梶先生にとって憧れであり、最大の理解者です。「施設長は日々明るくて本当にお喋りで(笑)、子どもたちからも『ハルちゃん!』と名前で呼ばれて頼られている存在です。私のちょっとした変化にもすぐに気づいてくれて、困った時には何でも相談できる、歳の離れたお姉さんのような、本当に心強い存在です」と梶先生は語ります。
職員同士の「ありがとう」も、日常的に交わされています。
「正社員もパートの方も、みんなで助け合っています。保護者の方への伝え方に悩んでいると、『こういう言い方をするといいんじゃない?』とフォローし合ったり、足りない書類を一緒に探したり。何かをしてもらった時は、お互いに自然と『ありがとうございます』と言い合える関係です。この職場の空気感があるからこそ、子どもたちにも優しく接することができるのだと思います」
ライクキッズが大切にする「陽だまりのような温かな空間」が、梶先生たちのチームによって体現されているのです。
迷う時間を信じる力に変えて。未来の後輩たちへ
インタビューの最後、梶先生は指導員を目指す後輩たちへ向けて、自身の経験に基づいた力強いエッセージを送ってくれました。
「就職活動などで迷うこともあると思います。私自身は『決めたら迷わない』という性格でしたが、もし迷ってしまったなら、納得いくまで比較して、最後は自分の直感を信じてほしいです。うだうだと悩み続ける時間はもったいない。決めたなら、あとはどうすればそれが上手くいくかを前向きに考えればいい。やってみなければ分からないことはたくさんありますが、自分の想いを大切にして一歩踏み出してほしいです」
新卒1年目、入社からまだ1年も経たない梶先生ですが、その言葉には「子どもたちのために、自分ができることは何か」を真摯に考え続けてきた自負が溢れていました。
「保育園でつくられた子どもたちが生きていく上での基礎を伸ばし、花開かせる場所が学童クラブです。子どもたちが学年やクラスという枠組みを超えて、自分らしくいられる場所。そんな『第二のわが家』を、これからも大切に守り続けていきたいです」
梶先生の周りには、今日も子どもたちの笑顔と、温かな「ありがとう」の声が溢れています。その「ありがとう」の尊さが循環する先には、自分らしく幸せになっていける状態が、一歩ずつ、確実に形作られています。
聞き手・執筆:美濃部 哲也(M&I Inc.)
